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2004/06/30
さて、ITが進むにつれ、紙媒体は馬群に沈む逃げ馬のように衰退の途をたどっております。そんななか、人気小説を飛び越え、売上一に名乗り出た書籍がありました。それも学習参考書。

2004年1月28日の雑記帖でも紹介した、「もえたん」であります。

初心者の人のために「もえ」というのが何なのかと言うことから解説します。
「もえ」とは標準では「萌え」と書きますが、もともとの意味「芽が出る」とは関係がありません。これは、「燃え」から派生し、2ちゃんねるお得意の書き換えが行われたのではないかと思います。
最初は美少女キャラクタやアイドルに対して、内から「燃える」ほど好きである、いとおしい、などの表現から入ったものと思われています。
これがいつの間にか(狭い)世間に浸透し、(狭い)一般的に使われるようになってきました。そして本来の意味がずれてきて、今では「よい」「good」の意味ぐらいでも使われるようになっています。例えば、

「WindowsXP萌え」
「セブン・イレブン萌え!」

などのように。これは「☆★セブン・イレブン超使える~♪★☆」と同じことであったりする。

そんな「萌え」でありますが、じゃあ「萌える英単語」略して「もえたん」はどのような本であるのでしょうか。
この「萌え」は本来の美少女キャラクタの意味になっています。美少女キャラクタ(二次元キャラクタともいう)と一緒に、英単語を勉強しちゃおうね☆というコンセプトだ。まさに今までの学習参考書の常識を打ち破った商品と言えるだろう。漫画のキャラクタとか使ったりなどというものはあったかもしれないが、ああいうものは版権がバカ高いので、同じカットの使いまわしだったり、ホントに高い本になってしまったりするのだ。
しかし、こういった美少女イラストを描ける人はごまんといるかどうかは知らないが、少なくとも売れっ子漫画家に頼むよりははるかに安価である。有名なキャラである必要性はないからである。
だからと言って、英単語集にキャラクタが描いてあっても意味がないとは思うんだけど、まあ単調な字が続くより飽きがこないというところだろうか。私が学生のころに使っていた「英単語実践トレーニング」などといった個性のかけらもない本は最初の5ページだけボロボロになっていた。いかにすぐ飽きるかが理解できる。

しかし、こんなランドセルしょった小学生と一緒に英語を勉強することができるのか? と思うかもしれないが、これに関しては賛否両論である。

その理由は、この本のもう1つの特徴に隠されている。

例文がマニアック用語で満載。

まあ、例文からして脳みそやられちゃっているわけである。以下その一例(今回は抜粋)。

Compared with the ordinary body of the Robot, the red one puts out triple performance.
(赤い機体は、普通の機体と比較すると3倍の性能だ)

It is difficult to distinguish the Chinese noodle man from the Mongol man.
(ラーメンマンとモンゴルマンを区別することは難しい。)

I subscribed my name to the contract with the witch. And I had a job in the public bath.
(魔女との契約書にサインして、銭湯で働くことになった。)

He felt refreshed while watching people fall like flies.
(人がゴミのように落ちていくのを見て、彼は爽快な気分になった。)

まあ、元ネタは言わずもがななものばかりだ。テレビや漫画、オタクの私生活などが主な例文だ。でもどちらかというと我々の世代、30歳前後のネタが詰まっている点が気になる。ターゲットずれてないかって。しかも

100%試験に出ないような例文しかない

笑えるのが、この出版社の裏話だ。
内容校正のため、ネイティブチェッカーを雇って、見てもらっていたのだけど、みんなやめていったらしい。

「意味が分からん」と言って。

「アカイロボット サンバイ? ホワイ?」
「ヌードルマン? フーイズ?」
「イズ ディス ア ジャパニーズ カルチャー?」
「ヒトガ オチテ ソウカイ? ニホンジン シンジラレナイアルネ」
「オーノー ユー ハ キチガイネ! デンパネ!」

と言ったような会話が為されたと容易に想像できる(電波の意味を知っている外国人はいないと思うが)。

まあ、そんな艱難辛苦を乗り越えて、できた本だったらしい。

とはいっても嘘は書いてないし、同義語、反義語なども掲載されていて、単語数は少ないがレベルは低くないと言うことで、評価を得ている所もある。もちろん、試験には役立たないと一刀両断している人もいる。

でも、楽しんで勉強ができるとするならば、勉強するきっかけも見出せない現代において、有効な手段ではないかと私は思う。楽しく勉強すれば、効果も大きいと、どっかの教授が言ってそうな気もするし(いいかげん)。


と、思っていたのだが、

そんな誰もが知っている前置きなどはどうでもいいのである。2ヶ月も前に発売された本をいまさら紹介しても時代遅れなだけである。

ここで、私は裏のマーケット情報調査部の人脈を利用して、はたしてホントに受験生に人気があるのかどうかを調査してみた。なにしろ10万部を越す人気商品である。統計的にも信頼が置ける。さて、その結果は……

<購入者内訳>
 10代……20%
 20代……50%
 30代……15%
 40代……5%
 50代……10%
      (※統計は本物です)



20代、受験生じゃないじゃん!

どうやら例文のターゲットそのままの結果のようだ。ということは大学生や社会人が再度英語でも勉強しようかな、ってことか? いや、違うと思う。間違いなくネタだ。この20~30代はそうに違いない。


それともう一つ気になるデータがある。



誰だ! 50代のお父さん、お母さんに買いに行かせた奴は!

「あの~息子から「燃えたん?」というのがあると聞いたのですが?」
「あっ、こちらの書籍でございます」
「えっ! こ、こんな本なんですか?」
 :
「ちょっと、亜奈流! なんなのこの本は! ママ、こんな本だなんてちっとも知らなかったわ!」


容易に想像できる……不憫なお母さん……(実際、50代の3分の2が女性です)

書店さん、この本、学習参考書からはずしちゃってもいいと思いますよ。

いや~、やはり英語はしっかりと勉強しておきたいね☆ さあ、みんなも「もえたん」を卒業して、ステップアップしよう! そんな人にこの例文を送るよ☆

I have the place to which it still returns.
    (僕にはまだ帰れるところがあるんだ)     ←もう帰れないと思う