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サヨナラ松井!


 この文字がでかでかとスポーツ新聞の1面に載っていた。今さらこれが、松井がどこかへ行ってしまってみんなで見送りしているとか、死んでしまったとか、離婚したとか思う人はいない。離婚したのは松居直美だから字が違う。
『サヨナラ松居!』 きっと夫の独白本だろう。

 そんなことはさておき、この『サヨナラ』。野球を知らない人でもさすがに聞いたことがあると思われるが、簡単に言うと、
「点を取った瞬間にゲームが終わってしまうこと」
である。サッカーで言えば「サドンデス(突然死)」改め「Xゴール(ビクトリーゴール)」というやつである。

 よく考えてみると、この「サヨナラ」という言葉は非常におかしい。米国の野球を取り入れ、その言葉をそのまま使ったり、和訳して使っていたりしている日本野球であるが。
グッバイ ヒット」「グッバイ ホームラン
 絶対にそんなこと言わない。英語では「ウイニング ヒット」「ウイニング ホームラン」という。
 ただ、実況が「グッバーイ!」と叫ぶこともあるらしいが、それは日本の「行った〜」と同じだと考えてよい。

どこから「サヨナラ」などという言葉が出てきたのだろうか。そもそもルールブックにはどのように書かれているかしらないが「サヨナラ」とは書いてないと思う。幼稚園のお迎えバスじゃあるまいし。
 試合が一瞬に決まって観客が「サヨナラ」する、という説が有力ではあるが、そんなもの試合が終われば誰でも「サヨナラ」する。「今日は均衡した試合だったから、球場に泊まろう!」という奴がいたら握手してください。
 しかし他に簡単に言える言葉がないのも事実である。先ほどの解説を詳しく言うと、
「9回以降のホームチーム(裏)の攻撃で、得点を入れたときに相手チームの得点を上回ったとき、自動的にゲーム終了となること」
である。つまり新聞の見出しは、

「松井! 9回以降のホームチーム(裏)の攻撃で、得点を入れたときに相手チームの得点を上回ったとき、自動的にゲーム終了となるヒット!」

となる。なるほどこれではやってられないわけだ。これをたった4文字「サヨナラ」で言い含めるのもどうかと思うが、ここまで浸透したのであれば仕方がない。
 よくよく考えてみると日本の野球用語は
1.英語からきたものそのまま
2.英語を直訳
3.まったく日本独自の言葉に変化

と3つのパターンがあり、非常に落ち着きがないような気がする。

以下にその例を挙げてみた。
1.のパターン
ヒットエンドラン、エラー、ヒット、セーブ、ホームラン、ワイルドピッチ、ダブルプレイ(ただしゲッツーは違う)、クリーンアップ、フライ、バント

2.のパターン
犠牲フライsacrifice fly
残塁left on base
先発game starter
打率batting average
盗塁stolen base
二塁打two base hit

3.のパターンは逆にしてあるので、日本語を想像してみてください(普通に隠してあるだけです。ドラッグすれば答えが出ます)。
strike out三振
walk四球(フォアボール)
two-strike buntスリーバント
hit by a pitch死球(デッドボール)
grand slam満塁本塁打
exhibition gameオープン戦
ground ballゴロ
drag buntセーフティバント


 こう見ると、かなりいい加減に付けられたのではないかという気さえしてきます。野球に限らず輸入されたスポーツはたくさんあるので、研究してみるのもよいかもしれない。それらしい本もあった。

 ところで、今アメリカでは「SAYONARA」という言葉が俄かにはやっているみたいです。「Good-by」ではなくて。
 初対面のアメリカ人にいきなり「Oh! SAYONARA!」といわれる日は近いと思います(すぐ知ってる言葉使いたがるから)。そんな人はその場で「サヨナラ」してあげましょう。

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